仏性は、実にもっともすぐれた人間の特質である。
世に、仏の教えにおいては、男女の差別を立てず、ただこの仏性を知る事を尊いとする。 黄金の粗金を溶かして、そのかすを取り去り、練りあげると貴い黄金になる。
心の粗金を溶かして煩悩のかすを取り去ると、どんな人でも、皆全て同一の仏性を開き現す事が出来る。

上記は仏教の開祖、お釈迦さまの教えです。
人には生まれながらにして、色々性質の違いがあります。男性女性にも違いがあります。しかし、人間なら誰にでも等しく備わっているとされる優れた性質があります。それは「仏性」という仏になる為の性質です。
私達は日々迷い、悩み、怒り、妬み、苦しむ事が多く、仏とはほど遠いように思いますが、それは煩悩というものが邪魔をしているからなのです。
金は美しく輝いていますが、最初から輝いていた訳ではありません。掘り出した状態では色々な物が混ざっていますが、それを精製して混ざり物を取り除き磨き上げて、初めて輝きます。
人の才能や能力も、鍛えてこそその真価が発揮されるのだと思います。
人の心も、最初から仏の心のように輝いている事はありません。
煩悩という混ざり物を取り去り、少しずつ磨き上げて、初めて仏性が現れ、輝くのだと思います。
仏教では、人の煩悩は大きく分けて「欲望」、「怒り」、「愚かさ」と三種類あると教えられています。
その全ては自分を中心に考えてしまう事から起こります。
自分の思い通りにしたいという「欲望」、自分が人に傷つけられたという怒り、財産や家族を自分の所有物だと思い込む愚かさ等、例を挙げましたが、このような一つ一つの煩悩に気付き、取り去っていけば、仏性を現し、発揮させる事が出来るのだと思います。

また、今月はお盆の月であり、多くの地域でご先祖さまをお迎えする準備に入られる事と思います。お盆の起源のひとつにお釈迦さまが餓鬼道に落ちた目蓮尊者の母を救うお話があります。
それは、僧侶が雨期に行う修行を終えた7月15日に僧侶や過去七代の父母と産み育ててくれた両親、困っている人々を施し、その功徳により母親を餓鬼道から救うことができたというお話です。
お釈迦さまは亡くなった父母や七代の父母を思い、毎年7月15日に仏と僧、多くの人々に供養し、限りない愛情を注ぎ育ててくれた父母の慈愛に報いなさいと説かれました。

仏教の開祖であるお釈迦さまは沢山の教えを残してくれています。
そのひとつひとつを知り、実践していく事は、人生をより豊かにしていく事に繋がるかもしれません。この月には、今生かされている自分の命のありがたさを思い、ご先祖さまに感謝の気持ちを込めて供養されますことをお勧め致します。

暑い日々が続いておりますが、今後も皆様のご健康、またこれからのご多幸をお祈り申し上げます。

                                                                              合  掌                  

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