道を求める者の納めなければならない慈と悲と喜と捨の四つの大きな心(四無量心)がある。

「慈」を修めると貪りの心を断ち、「悲」を修めると瞋りの心を断ち、「喜」は苦しみを断ち、 「捨」は恩と恨みのいずれに対しても違いを見ないようになる。

多くの 人々の為に幸福と楽しみを与える事は、大きな「慈」である。

多くの人々の為に、苦しみと悲しみをなくす事が大きな「悲」である。多くの人々の為に歓喜の心をもって向かうのが大きな喜である。全てのものに対して平等で、分け隔てをしないのが大きな捨である。

 -大般涅槃経-

 「慈・悲・喜・捨」という他人に対してもつべき四つの心を、「四無量心」といいます。

 最初の二つの「慈悲」という言葉はよく耳にした事があると思いますが、仏教では慈と悲は別の心ととらえます。

 「慈」は友情を根本的な意味とする言葉で、人々に喜びや楽しみをもたらそうとする心(与楽)です。

 「悲」は同情を意味する言葉で、人々の嘆きや苦しみを取り除こうとする心(抜苦)なのです。

 「喜」とは人々に苦悩がなくなり安楽が訪れる事を共に喜ぶ心の事です。他者が苦しければ共に苦しむのが慈や悲だとすれば、他者が嬉しい時共に喜ぶのが「喜」であると言えるでしょう。

 「捨」とは、他者の為に心を砕き、しかもその事にとらわれない心です。人に何かよい事を行った時、「自分は誰それによい事をした」と恩きせがましくなったりする時があるかもしれません。そういう心を離れる事です。

そしてこの「四無量心」をわがものとすれば、「貪りの心」、「怒りの感情」、「苦しみ」等を断つことが出来、恩人と憎い人の違いがわからなくなるほど大きな心を得るといいます。

 「無量」とは、数え切れないくらい数が多いという意味です。無量の人々全てを対象とするからこれらの心を「無量心」といいます。

 そしてこの「四無量心」を実践する事によって、無量の福徳を招くのだという事を、この言葉は教えて下さっています。

合掌

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