この世において、どんな人にも成し遂げられない事が5つある。

1つには、老いていく身でありながら、老いないという事。2つには、病む身でありながら、病まないという事。3つには、死すべき身でありながら、死なないという事。4つには、滅ぶべき身でありながら、滅びないという事。5つには、尽きるべき身でありながら、尽きないという事。

人々は、この避け難い事に突き当たり、苦しみ悩むのであるが、仏の教えを受けた人は、避け難い事を避け難いと知るから、このような悩みを抱くことはない。

 -増支部経典-

 

成田山のご本尊様はお不動様ですが、仏教を最初に開かれた「開祖」はお釈迦様です。約2500年前に誕生され、以来、様々な「教え」を説かれました。その教えの中の一つをご紹介致します。

 生きている限り、絶対に対処しきれない現実というものがあります。

 それは、どんな人でも、「老い」、「病」、「死」からは逃れる事が出来ず、ものは必ず「滅び」、やがて「尽きてなくなってしまう」という事です。

 この「老」・「病」・「死」・「滅」・「尽」という5つの壁は、避ける事の出来ない仕組みといってもよいでしょう。

 この世に不変のままあり続けるものはないという事です。

 それらのどうしようもない現実に直面した時、私たちは「自分1人がそうなってしまうのではない、全ての生きとし生けるものにとっても同じなのだ」と冷静に考えられるでしょうか。

 難しいかもしれません。

 この5つの壁にぶつかった時に、悩んだり、弱ったり、悲観にくれてしまったりする事等あるかもしれません。

 そのような予想される事態をあらかじめ考えておくことが出来るでしょうか。

 やはりこれも難しいかもしれませんが、もしそのようにきちんと考える事が出来ているのであれば、心配事という「毒矢」が刺さっても、きっと引き抜く事が出来るでしょう。

 避けられない現実を直視する事が出来れば憂いはなくなり、心を穏やかにする事が出来るかもしれません。

 心が穏やかな状態こそは、「涅槃=ねはん」といわれる、悟りの境地なのです。

 ブッダの教えの中には、日々過ごす中で、為になる事が沢山あります。

 教えを聞き、受け入れて過ごすと、よりよい人生を過ごせるかもしれません。                  

合掌 

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